【第二回】コーヒーの加工プロセスでこんなにも味が変わる!?
生産処理とは、収穫されたコーヒーの果実から種をとりだし、生豆(なままめ、きまめ)の状態にする過程のことを指します。
コーヒーの果実は外側から、果皮、果肉、粘質物(ミューシレージ)、内果皮(パーチメント)、銀皮(シルバースキン)、生豆(種子)の順におおわれています。生豆を取り出す過程には、数種類方法があり、それぞれの方法によって、生豆を取り出す方法が異なるため、最終的に風味に与える影響が異なってきます。
生産処理を施す過程で、コーヒーの風味に影響を与えられるのは、果肉除去、発酵、乾燥、の3つの過程だと考えられます。
処理の施し方に、方法がありそれぞれに名前がついています。
大きく分類すると、ナチュラルプロセス(乾式)、ウォッシュトプロセス(湿式)、パルプトナチュラル(ハニープロセス)の3つです。
そのほかに、地域ごとに少し変わったものや、乾燥の工程、発酵の工程に工夫を加えているものもあります。ただ、大まかにうえの3つはコーヒー豆を選ぶうえで大切な要素となるので覚えて置くようにしておくとよいでしょう。
ナチュラルプロセスはもっとも古くから行われている伝統的な処理方法です。アラビカ種のコーヒーの発祥地であるエチオピアや、ブラジルなどでよく見られる生産処理方法です。
ウォッシュトプロセスでは、精製の過程で水を多く使用し、世界手にも多くの地域で採用されている一般的な方法です。
パルプトナチュラル(ハニープロセス)は、比較的最近でてきた手法で、ちょうどナチュラルとウォッシュトの間のような方法になります。
ナチュラルプロセスについて
収穫された熟したコーヒーの実を、実がついたまま天日もしくは機械で乾燥させ、乾燥後に果肉を取り除く方法です。
この方法は主にブラジルを中心に行われていましたが、中南米やアフリカの生産国でも作られるようになりました。
この方法の難しさは、乾燥させる実の選別・選定やどれくらい乾燥させるかにあります。乾燥後には完熟した実もそうでない実も黒く変色してしまうため、乾燥後の見た目での不良豆の選別は難しくなるため乾燥前に完熟の実のみを選別する必要がります。
また、実がついたまま乾燥させるため一定期間乾燥させる必要がありますが、乾燥さすぎると過発酵を起こし腐敗した匂いがついてしまいます。
そのため乾燥の過程を綿密にコントロールできるかが重要となります。
その難しさながら、良質なナチュラルコーヒーは特有の濃厚な熟したフルーツのような香りとワインのような風味を感じることができます。
そうした特有の味わいにより、ナチュラルコーヒーが人気な理由となっています。
ウォッシュトプロセスについて
収穫したコーヒーの果肉を取り除くところから始まります。
果肉を取り除くと、その下に粘液質とよばれるネバネバしたものが付着したパーチメントのついたコーヒー豆が出てきます。
次に、「発酵槽」とよばれるプールのような場所に、粘液質のついたコーヒーを入れ、水を張り、水の中で粘液質を発酵させます。発酵時間は場所によって異なりますが、発酵させると粘液質がさらさらになり、洗い流しやすくなります。
発酵後、タンクの水を抜き、コーヒー豆は水路を通りながら洗われます。
洗浄されたパーチメントコーヒーは、天日もしくは機械によって乾燥させられて終了となります。
一般的にウォッシュトコーヒーの味わいは、すっきりとしていてクリアな味わいになることが多いです。またさわやかな酸味が傾向として挙げられます。
パルプトナチュラル (ハニープロセス)
果肉をつけたまま乾燥させるものを「ナチュラルプロセス」、果肉と粘液質を除去して乾燥させるものを「ウォッシュトプロセス」といいますが、その中間となるのが「パルプトナチュラル」といいます。
パルプトナチュラルでは、果肉を取り除いた後、粘液質のついた状態のまま乾燥工程に入ります。コスタリカでは機会を用いて一定の割合の粘液質を除去することもあります。この粘液質がついた状態をハチミツのようであるため、特にコスタリカではハニープロセスと呼ばれます。
パルプトナチュラルの風味もちょうどナチュラルとウォッシュトの中間のような味わいになります。
ハニープロセスでは、粘液質の除去率やどれくらい発酵させるかで風味の円熟味や風味に影響を与えます。